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宮沢賢治「すきとほった風」


だめでせう
とまりませんな
がぶがぶ湧いてゐるですからな
ゆふべからねむらず血も出つづけなもんですから
そこらは青くしんしんとして
どうも間もなく死にさうです
けれどもなんといゝ風でせう
(中略)
血がでてゐるにかゝはらず
こんなにのんきで苦しくないのは
魂魄なかばからだをはなれたのですかな
たゞどうも血のために
それを云へないがひどいです
あなたの方からみたらずゐぶんさんたんたるけしきでせうが
わたくしから見えるのは
やっぱりきれいな青ぞらと
すきとほった風ばかりです。


この詩は宮沢賢治が、極端な菜食主義を断行しているうちに結核にかかり、
壊血病を併発した高熱の中での作品です。
話すことも書くこともできなかったので「眼にて云ふ」と題されています。

人の死に立ち会うと、まわりの生者は戸惑い、ときにはわいわい騒ぐこと
もあります。だけど人の死とは、真っ当に高齢期まで生き抜いた人の死と
は、生の延長線上にあるごく自然なものではないかとある人の死によって
感じたことがあります。

私は、この宮沢賢治の詩に出逢い百パーセント死を受け入れたとき、人は
あらゆるものが輝いてみえるときがあるのではないかと思いました。

特に穏やかな自然死を迎えた方のお顔は、まるで仏様のようです。
「すきとほった風」の中にいるように。

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下河原忠道

株式会社シルバーウッド代表取締役
/薄板軽量形鋼造システム スチールパネル工法躯体販売事業/サービス付き高齢者向け住宅「銀木犀 ぎんもくせい」運営/財団法人サービス付き高齢者向け住宅協会理事

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