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サービス付き高齢者向け住宅の本来の目的とは


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※銀木犀<西新井大師>に吹く風

サービス付き高齢者向け住宅の運営を始めてから4年が過ぎました。
現在までのオープンは、鎌ヶ谷、市川、薬園台、そして西新井大師と合計4棟となります。
さらに今年、江東区東砂、千葉県浦安市、と新規オープンが続きます。

歩みは遅いけど、その分、着実に運営の中身を修練していくことができました。
私が方向性を間違え、ご迷惑をおかけしたケースも多々あったと思います。だけど、
とにかく私は、高齢者住宅をステレオタイプな高齢者収容施設にだけにはしたくありません。

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※銀木犀開発認知症予防プログラム「ドラムサークル」

課題も多く見えてきました。

これは、介護業界の宿命ともいえるかもしれませんが、職員全員が持つ「優しさ」が、ときに、
高齢者の自律を奪うことに繋がってしまうケースがある。よかれと思い施す優しい手が、必ずしも
高齢者にとって必要な支援とは限らないのです。やってしまった方が楽などという理屈は言語道断ですね。

建物の設計も同様です。銀木犀のほとんどの個室は、18平米の大きさにトイレと洗面、収納しか
ありません。本来、自立して生活して行くために必要な風呂やキッチン、洗濯場などがありません。
設計計画そのものから自立を奪ってしまっているのかもしれない。

そもそも、介護が必要な状態になってからサ高住に移り住んでくる場合が多い世の現状をふまえると、
居室にお風呂やキッチンがあっても使用しない、使用できないとの理由で設計に組み込んでいない
場合が多くなります。でも、もしかしたら自分でできるかもしれない。むしろ、自室に設備があれば
自分のことは自分でやりたいと思ってくれるかもしれない。結果、介護保険を利用することが減り、
最期まで自立した生活をしていくことに繋がるかもしれない。
4年の経験を経たいま、私たちはその可能性を否定できません。しかし、それだけ設備を整えれば建築
費が高くなり、普通に生活してきた方が払える料金設定、厚生年金の範囲内で提供する金額設定にも
影響が出てしまいます。これは大きな課題のひとつですが当社でも挑戦していきます。

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※銀木犀<西新井大師>の図書コーナー

これだけはハッキリしていますが、自分の意志でサ高住へ移り住んでくる方と、誰かに言われるがまま
移り住んでくる方(またはわけも分からず無理矢理連れてこられたケース)では、その後の生活に大き
な「心的影響の違い」が表れます。

私たちは、その違いを分かった上で、さらにその想像を上回る住環境を整えなくてはならないと腹を括
りました。どんな理由で移り住んできたとしても、ここで暮らせて幸せだ、ここで最期まで住み続けた
いと思ってもらうためにどう行動するべきかだ。

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北欧のプライエボーリ(高齢者住宅)を視察したときに感じた納得感。それは、最期の最期まで自分の
家で生活を続けようとする国民意識、家族も社会的インフラも、その思いを支えようとする意思と仕組
みが整っていることでした。

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※デンマークのプライエボーリ(高齢者住宅)


昨今、日本でも、小規模多機能型居宅介護施設や定期巡回随時対応型訪問介護看護など、本当の自宅で
生活し続けるための支援システムが普及しはじめました。しかし、その歩みは遅く、到底この10年の
都市圏高齢者増加数に追いついていけない普及率となります。

私の知る限り、ほとんどの高齢者が本当の自宅での生活を続けることを希望します。ですから、本当の
自宅での生活を支える社会インフラがもっともっと整備され、「いよいよ」という状況になってから初
めて高齢者住宅に移り住んでくるぐらいの形が、本来ベストなのではないかと思うのです。

そして重要な終末期の過ごし方です。

厚生労働省の調べでも「住み慣れた自宅で終末期を過ごしたい」方が7割を超えているにもかかわらず、
実際は8割の方が病院で亡くなっている。なぜか。それは、社会的インフラ整備の遅れだけではない、
国民一人ひとりの意識に問題があるのです。まさに高齢者の終末期における国民意識の変革が求められ
ている時代なのです。日本の借金が1053兆円を超えました。その借金のつけを払うのは、僕ら世代、
そして我々の愛する子どもたち世代なのです。

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終末期に入退院を繰り返す医療費は莫大で高額です。また、非人道的な療養環境もまだまだ少なくありま
せん。管だらけになった自分の親を想像してみてください。
止まろうとしているエンジンに無理矢理つぎ込まれる栄養剤、本人は悲痛な顔をしているのに、我々はな
す術がない。いつまでそんなことを続けるのでしょうか。私は世界中の病院、高齢者施設を視察して参り
ましたが、そんなことをしているのは日本だけです。

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※銀木犀のお別れ会


銀木犀では、食べなくなった入居者には、点滴も経管栄養もしないで、食べるだけ、飲めるだけで看取る
ことを推奨しています。
脱水、低栄養になっても、そこに苦しみはなく、ただ花が枯れていくように向かうだけです。

これからのサービス付き高齢者向け住宅では、最後まで何もしなくていいことがベストだと確信しています。
社会保障費の圧縮という至上命題と、高齢者の安心して生ききれる住環境の整備が同時に叶えられる場所、
それこそがサービス付き高齢者向け住宅の本来の目的であると思うのです。

Profile

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下河原忠道

株式会社シルバーウッド代表取締役
/薄板軽量形鋼造システム スチールパネル工法躯体販売事業/サービス付き高齢者向け住宅「銀木犀 ぎんもくせい」運営/財団法人サービス付き高齢者向け住宅協会理事

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